◆SG第28回チャレンジカップ/G2第12回レディースチャレンジカップ(30日・ボートレース福岡・最終日)
若さと勢いに溢れ返っていた2010年よりも、間違いなく15年後の山口剛の方が強いぜ!
こん身&会心の差し芸をここ一番で繰り出して、難攻不落の池田浩二をズブッとえぐった。2025年チャレンジカップを制した。2010年クラシック以来となる自身2度目のSG戴冠をここに果たした。年間賞金ランクは、登りコイのごとく前日25位から7位へと一気にジャンプアップした。年末のグランプリ出場を自らの底力で確定させた。「いいスタートを行けたと思いましたが、前に浩二さんがいて。差さるとは思わなかったけれど、一瞬半分ぐらい入ってくれました!」
2つ目のビッグタイトルを得るまでに思いのほか長き時を要したが、その期間は決して無駄ではなかった。「その間にいろいろと悔しい思いもたくさんしました。でも目の前のひとつ、ひとつを積み重ねてやってきた。ボートレースを通じて人間を鍛えてもらえましたね。いろいろと失敗をするので、僕を応援するのは大変だと思うんです。でも、20代の頃からずっと応援してくれるファンやタオルを掲げて泣いてくれている人を見たら、ああ恩返しができたのかなって思いました。ただ…」
ひと呼吸置いて勝者は続けた。「自分の中では泣いたり感動とかの実感はありません。やっぱり本当に喜べるのはグランプリを勝った時なんだということがわかりました。今、自分は広島の支部長を務めています。何としても支部からグランプリに選手を出したい。その使命感がある。グランプリではいろいろと失敗しました(22年はフライング、23年は転覆)。だからグランプリを勝たないと。悔しい思いがあったからこそ、今の僕があると言えるように…」
開催中、山口は断言した。「20代、30代の頃より43歳の自分の方が圧倒的に強い。これからもっと強くなれる可能性もある。その準備もしている」と。
22年、23年の年末に味わった苦汁、15年ぶりのSG制覇をすべて受け止め、背負って、絶賛自己ベストの山口剛が人生マックスのリベンジを果たすべく、いざグランプリへと突き進む。(淡路 哲雄)