2006年にレーサー生活をスタートさせた茅原悠紀のキャリアはついに20年に達した。
これまで彼は、常に具体的な目標を設定して、それを叶え続けて進化を遂げてきたと笑顔で話す。
「そうなんですわ。まず選手になったら、すぐに家を買おうと。親に買ってあげたかったんです。子供の頃は全く裕福じゃなかったので、床でビー玉がコロコロしちゃうような傾いた家でした(苦笑)。でも、選手として結構早くに軌道に乗ることができたので、23歳の時に購入できました」
◆27歳で宣言通りのグランプリ制覇
そして次なるは、グランプリを制覇する―。それも27歳までに(!)。同世代の誰よりも先に、年末の大一番で頂点へと登り詰めてみせる。岡山が送り出した規格外の大器は、それに見合うでっかい夢を自身で定めた。
そして、宣言通りに何とちょうど27歳の時に、2014年のグランプリに勝利した。
当時、大外6枠でのエントリーとなったが、決戦を目前にして、「緑の勝負服で勝つことができたら、その賞金でグリーンカラーのランボルギーニを買ってやりますわ!」と豪快に宣言して、あっさりと大願を成就してみせた。まぶしくも超目立つグリーンにカラーリングが施された愛車を手に入れた。
「実はね、あの時は勢いで宣言しちゃいましたが、本当は欲しい色でも車種でもなかったんですよね。でも、みんなの前で言った以上は、公約はちゃんと果たさないとね。あったり前っすわ。わはははっ~」
次から次へと目標をクリアし続けていき、20代最後の目標は「30歳までに山あいに別宅を建てる」だった。
岡山市街から、高速を飛ばして車で2時間弱。右も左も山と自然しかない場所に別宅を構えた。それが現在、彼が最も心癒やされるスペースとなり、「今は別荘のすぐ近くにサウナを作っているんですよ。今は記念レースに勝つと、ゴールドを頂けるんですよね。サウナに通じる道を作るために、僕は金で砂利を買っているという(笑)。ゴールドが石ころに変身っすわ。わはははっ」
◆30代に入り原因不明のスランプ
しかし、狙った目標をどんどん実現していくうちに、気づけば気持ちのスランプにどっぷりと陥っていってしまったと言う。
「そうなんですよ。これはいろいろなところで話すようなことではないんですが、実はちょうど30歳から5年ぐらい、今になって思えば燃え尽きていたんですかね。あの頃は精神的にすごくきつい時期でしたね。何というか、あの当時だけはボートレースを心から楽しむことができませんでした。以前よりも気持ちが乗ってきませんでしたし、正直自分を見失いかけていました。どうして、そういう状況に陥ってしまったのかすら、わからなかった。そもそも原因がわからない。だから、すごく苦しかったです」
ボートレーサーとしてようやく完成、成熟の域に達し、さあ、いよいよ全盛期に突入しようとした30代前半を彼は不完全燃焼に終始してしまった。
「30歳から35歳ぐらいまでですかね。でも、やっとまた気持ちが入り始めたんです。それが今から5年ぐらい前です。その後は、もう全開っすわ!また、やったるぜ~!と気持ちにスイッチが入ってきましたわ!」
メンタルのスランプは、自然と時が解決してくれた。そして、彼はボートレーサーとして、第二の最盛期へと突き進んでいった。
2度目のSG戴冠に、10年もの時間を要した。
2024年オーシャンカップを突き抜けて、再び栄冠をたぐり寄せた。
◆今すぐ戦いたい「早く大会始まってくれ~」
「もう、本当にやっとっすわ(苦笑)。周りからこれだけ評価して頂いているのに、実はSGはまだ2つしか勝っていないという(超苦笑)。でもまあ、それも自分ですからね。まず、自分にはボートレースがある。その基本的な本筋はブレません。まずはボートありきです。でも、その中で、自分は仕事だけじゃなくいろいろなことをやって、人生を歩んで、楽しんでいきたいんです。ボートがあって、その次が釣りですね。これは子供の頃からの趣味なんです。そこは変わりません。たまにね、桐生順平に言われるんですよ。もっと、ボートレースだけに向き合えって。言ってくれる意味はよくわかっています。でも、それは本当の僕じゃない。僕には僕の生き方、過ごし方がある。でもさあ、やっぱりジュンペーはすげえっすよ。あいつ、いくつSGを勝っているんですかね?(5つです)。あとは毒島誠さん。あの人、おかしいでしょ(苦笑)。だって、プライベートの時間でも、メッチャ体を鍛え上げたりして、マジでストイックじゃないですか。SNSとかでも、鍛えています!的なアップをしてくる(笑)。どこまでアピールしてるね~んって、すぐに連絡しちゃいます(笑)。でも、毒島さんはそれを笑って、返信してくれる。自分の大切なライバルっす」
そして、ダメ押しで続けた。「そして、最後は石野貴之さんです。あの人は、強いわ!マジで強い。ボートレーサーとして、とにかくトータル的にすごい。技術も、そしてメンタルも。きっと自分たちの似た世代の選手は、みんなそう思っているんじゃないですかね。だからこそ、尼崎ダービーでは石野さんはいませんが、ジュンペーがいて、毒島さんがいて、そういうメッチャ強いライバルと、もう今すぐにでも早く戦いたくて、茅原悠紀はウズウズしちゃっています!彼らを倒した先に、ダービー制覇がある。今回はマジでやったりますよ!ぜひ、見ていてください!早く大会始まってくれ~(笑)」
(淡路 哲雄)