ボートレース福岡のSG「第28回チャレンジカップ」(優勝賞金3700万円)、G2「第12回レディースチャレンジカップ」(優勝賞金500万円)はあす25日に開幕する。現在トップの佐藤隆太郎こそ不在だが、2位の茅原悠紀を筆頭に今年の賞金ランク上位者が集結。グランプリ出場をかけた最後の勝負が繰り広げられる。地元からはグランプリ2ndスタートのベスト6入りを目指す西山貴浩を始め、逆転のグランプリ出場を狙う瓜生正義、仲谷颯仁、篠崎元志、塩田北斗が出場。その中でも今年が飛躍の年となりそうな仲谷に注目。地元SGでの勝負駆けに注目だ。
◆10月当地Vのアドバンテージ
「今年は(仲谷)颯仁と一緒にグランプリへ行く」。親交の深い西山貴浩のそんな言葉から始まった挑戦と言えるかもしれない。「自分が目指していいんだと思った」と振り返るが、弱気な言葉とは裏腹に今年の足取りは順調だ。賞金ランクベスト18のボーダーライン突破に手が届く位置につけている。「もう一つ、上の景色を見てみたい」。初のグランプリ出場をかけた仲谷のチャレンジが始まる。
2月の九州地区選で7年ぶりのG1優勝。3月の若松SGクラシック出場権を獲得した。「あそこから流れが良くなりました」。ラストチャンスで勝負強さを発揮すると、そこでの貴重な経験がさらに一歩前進させることになる。
そのクラシックでは西山と塩田北斗が優出。身近な先輩の活躍に大きく触発された。5か月後には、再び若松でSGメモリアルを開催。今度は自分がそれを実現することになる。「地元選手が優出したら本場は間違いなく盛り上がるし、格好いい。クラシックの2人をみていて自分もとにかく優出したかった」。先輩の姿を追いかけ、見事にSG初優出。その活躍も後押しして、今回チャレンジカップ初出場にこぎつけた。
自身にとって大事な今年は、周囲でもメモリアルなことの相次ぐ1年だった。兄弟子の西山がオーシャンカップでSG初制覇。同期の佐藤隆太郎はSG連覇を達成した。愛ある先輩は「次はお前の番」と猛プッシュ。「西山さんが結果を出してグランプリに行くので、僕も一緒に行けるようにしたい」と気持ちを後押し。同期の存在もさらに後押し。「(佐藤)隆太郎はそうだし、(関)浩哉にしてもすごいなって思う。ただ、そう思っているようではダメ。そこを抜け出せるようにがんばっているところです」と笑顔で話す。
舞台となる福岡では10月の一般戦に登場して期待通りに優勝。「福岡ももちろん地元の一つで以前にも結果を出せていた。1か月前に走れたこともデカい」。前哨戦を制し好印象で臨める、今年3回目の地元SGになる。「西山さんは陸と水面の両方で盛り上げてくれると思う。あんなふうに面白いことはできないので、僕は結果の方で頑張りたい」。地元SGの高揚感とグランプリ出場をかけた大勝負が重なる中、「チャレンジします」と明るく決意を込める。ここまででも自己ベストの1年。ただ、本当の勝負はここからだ。
◆篠崎が悲願の地元特別戦制覇へ
賞金レースも佳境を迎えグランプリ出場圏に関心は集まるが、地元選手にとっては大事なSG開催。気持ちの入る面々にまず期待が高まる。その中でも篠崎に注目だ。4月の72周年では優勝に手が届きかけながらも無念の転覆。当地ではSG2回、G1で5回の優出があるが、優勝にはまだ届いていない。悲願の福岡特別戦制覇を今度こそ成し遂げたい。
瓜生は抜群の水面実績を残し、昨年12月の71周年でも優勝を飾った。当地SGは3優出3Vと圧巻の戦績。地の利を再びその走りで体現するか。SG制覇でスケールアップの西山は4回目のグランプリ挑戦を控えてリズムを上げたいところ。西山とともにグランプリ出場を目指す仲谷は当地通算3Vで、塩田は当地7Vという水面巧者。地元勢は楽しみな面々がそろう。
一方、賞金レースに目を向けると、グランプリ出場のベスト18はもちろん、グランプリ2nd組のベスト6、グランプリ初戦が1号艇のトップ2とそれぞれ勝負駆け。その意味はどれも大きく、誰もが注目選手。それでもボーダー近辺に位置する6位以下の峰竜太、馬場貴也、西山や、18位以下の菅章哉、瓜生の動向からは目が離せない。
連覇という意味で注目は、ダービーに続くSG連覇のかかる末永和也と一昨年のメモリアルに続く当地SG連覇を狙う馬場。水面実績でみれば、新田雄史も当地でSGを制し、石渡鉄兵、桐生順平、宮地元輝はG1V。さらに峰と茅原はSG3優出、毒島誠はSG、G1で計5優出と実力者が福岡水面も乗りこなす。
女子は賞金上位の面々がフル参戦。総勢21人による攻防が繰り広げられる。ただ優勝賞金は500万円で、逆転のクイーンズクライマックス(QC)出場に届くのは19位の松尾夏海あたりまでか。
こちらも注目は地元勢。とりわけ小野生奈はボーダー上で、4年ぶりのQC出場勝負駆けとなる。純地元で気合倍増の渡辺優美、当地G1V歴が光る川野芽唯とともにシリーズを盛り上げる。
昨年の当地レディースチャンピオンを制した遠藤エミがV候補の筆頭。今年の女子特別戦を制した平高奈菜、鎌倉涼、浜田亜理沙に、守屋美穂、西橋奈未ら実力者が主役の座を争う。近況の充実ぶりは目を見張るものがある高憧四季にも注目だ。