◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
「4カド」になじみのある読者は多くないでしょう。「3カド」や「5カド」もよく見られます。レアな「2カド」もありますが、まずは「4カド」を覚えましょう。「4カドの峰は、峰なんよ」。この用例は丸暗記してください。人生の何かの場面で役に立つかもしれません。
このボートレース史上に残る名調子を発したのは、お笑いコンビ千鳥の大悟さん。相方のノブさんと司会を務めるテレビ番組で、大悟さんが峰竜太選手を紹介する流れで飛び出しました。「4カドノミネハ」で7文字、「ミネナンヨ」で5文字。見事な七五調です。「4カド」とは競馬の枠番のようなものと思ってください。競馬の「外枠不利」と同様、4カドは基本、1着を取るのが難しいポジション。つまり「4カドの峰」とは、不利な状況に置かれている峰選手のことです。
ボートレースの艇は時速80キロに達します。車を運転する人なら想像できるかもしれません。サーキット場において、80キロまで加速させつつ急ハンドルを切ってヘアピンに突っ込むのはプロでないと無理でしょう。峰選手は水面でこのような荒技を体現する代表格の一人です。「4カドの峰」は不利な状況を異次元の高速旋回ではね返す。それこそ峰選手の本質。大悟さんの独自分析がダイレクトに伝わる「峰なんよ」の下句は秀逸です。
この名調子は基本に立ち返らせてもくれます。猛暑のせいでしょう。脳内で大悟さんが「選手の本質をよう分かって打つ◎○▲△じゃねえと、その印に魂は入らん!」と私の心のペラを叩くのです。4カドの峰は、峰なんよ―。今日も水面とにらめっこです。(ボートレース担当・上村 尚也)
◆上村 尚也(かみむら・なおや) 1992年入社。