西島義則
西島義則

◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 先月、ボートレース宮島でプレミアムG1「第27回マスターズチャンピオン」が6日間開催で行われた。45歳以上のベテラントップレーサーが集結する通称「名人戦」。そのシリーズ2日目に、広島支部レジェンドレーサー・西島義則(64)が今期3本目となる痛恨のフライング(F)を切ってしまった。

 西島は2024年8月に史上5人目、現役選手では最多となる通算3000勝を達成。在籍も最上位ランクのA1級のレーサーだ。だが、今回のフライングの罰則によって合計150日間のF休みが決定。さらに来期は最下位クラスのB2降格が確定となった。大会終了後、トップ選手が5か月近くの“無職”を余儀なくされた。普通ならメンタルがボロボロになるはず。

 だが、西島は逆境すら力に変えた。フライング翌日の3日目8Rでは終盤抜かれて2着となったが、序盤はトップを快走。果敢な前付け策でスロー水域へ進出し、好スタートで攻めの姿勢を貫いた。これ以上のFが加算されると、さらに長期休養で事故点も膨大になり、選手生命の危機にもつながる。それでも車でいう所のアクセル「スロットルレバー」を全開にしてレースへと臨んでいた。

 5日目3Rでは1着をつかみ取った。F3とは思えない思い切ったスタートを連発。ライバルたちも「男の中の男」と度胸満点の乗りっぷりに感動していた。舟券を買ってくれたファンのために戦うのは「当たり前」と言う。心を打たれた観客からは、西島が登場するだびに大歓声が巻き起こった。現役選手では最多の白星を重ねた“名人芸”がしばらく休みになるのは、とても寂しい。(ボートレース担当・森 智宏)

 ◆森 智宏(もり・ともひろ) 1999年入社。「もりとも」が会社でのニックネーム。