◆SG第61回ボートレースクラシック(25日・ボートレース蒲郡・2日目)
まずは絶対的な無類なる速さを身に付けたかった。そこに執着していて鍛錬を重ねるうちに、彼の技術とテクはどこまでも高まった。うまくなった。そして速さとうまさが完全融合した時、ボートレーサー馬場貴也は強くなった。速い→うまい→強い。ここに馬場大王の進化論は美しくも成立した。
デビューした当初から、その快速は際立ちに際立っていた。タイトルを得る前からずば抜けたスピードでレコードを塗り替えまくった。「最初はとにかく速くなりたかったんです。速くなるために、いろいろな選手の走りを見て、マネして、研究をして、これは自分に合う、これは合わないなと練習を続けました。タイムを出すためには、どうターンをどんな技術で回るかとか、ウイリーを磨いていくとか、舟の動かし方を勉強していきました」
こうして若き時代の馬場は、比肩を許さぬ速さを体得しながら、同時に技巧も手に入れることに成功した。
「乗り手として、完全に覚醒できたなと思った瞬間は、もう完全にあの時のチャレンジカップ(2018年)でした。そして、その後にグランプリを走って、さらにうまく乗れるようになったと思っています」
以降の馬場王朝は、ご存じの通りである。そんな現代のスピードチャンピオンも26日に42度目のバースデーを迎える。
彼にとって、今が乗り手としてピークなのか。それともまだ見果てぬ上はあるのか。いや、いよいよピークは過ぎつつあるのか。
馬場は包み隠さず、自身の体感、手応えを口にした。「正直に言えば、もう少しずつですがピークは過ぎてきているように感じているんです。少し前までは何も考えなくても、体でできたことが、最近は少しずつ難しくなっているというか。そういうことは確かに感じるようにはなりましたね」
それでも、馬場の表情には焦燥の影がまるで見当たらない。「やっぱり速く走るにはペラを合わせることも大事ですし、それは地元の若手たちにも伝えていることです。あとは今の自分には経験もありますし、今だってまだ速く走れるために勉強だってしますし、努力もしている。人の走りを見て参考にさせてもらっていますし、特にカヤ(茅原悠紀)ですね。自分の中では、カヤが一番うまいレーサーだと思っているので、彼の走りはよ~く見ていますよ!」
大会2日目の6Rは黄色いカポックをまとって、4コースからズブッと差した。雨が降りしきる中、おなじみの伝統芸をファンにライバルたちに見せつけた。。見守った選手たちからの口からは無意識のうちに「うまい…。やっぱりすごい」というフレーズが漏れ聞こえた。
「同じ選手たちから、そう思って頂けるのは本当に光栄ですよね。うれしいです。速い!うまい!強い!なんて、もうそれが一番最高ですもんね!」(淡路 哲雄)